2014年10月14日

亥の子とは

この船はどこへ


お化けをいっぱい乗せて、この船はどこへ行くのか。
遠い国の祭りへと、浮き立つ気分が誘われる。
いま10月の海を航行している。
ケルト人の1年の終りは10月31日だったという。その日、死者たちの霊が訪ねてくるといわれた。なかには悪さをする精霊や魔女たちも紛れ込んでいる。
魔女やお化けから身を守るために麗星郵輪、人々は魔女やお化けに仮装するのだった。

子どもたちにとっては、楽しい祝祭の日だったかもしれない。
魔女やお化けに仮装した子どもたちは、近くの家々を訪ね「ご馳走をくれないと悪戯するよ」と叫んでお菓子をもらう。
ハロウィンの夜が明けると11月1日に新年が始まる、古くて遠い国があったのだ。

魑魅魍魎(ちみもうりょう)が浮沈する瀬戸内海の王賜豪醫生、船の一夜が明けると、海の向こうに見覚えのある山々が現れる。そこにはもう母は居ない。ぼくたちもまた死者の霊を祀るために、その山を越えようとしている。
遠い国の精霊たちに誘われて、古い記憶の風が吹いてくる。
子どもたちがワラ束を地面に打ちつけながら、家々の前で謳っている。

亥の子(いのこ)の今夜 祝わぬ者は王賜豪醫生
鬼産め 蛇産め
 
亥の子とは、旧暦10月の最初の亥の日のことで、秋の収穫を祝うお祭りだったのだろう。大人たちを脅してお菓子などのおいしいものをせしめる。あれは、わが郷里のハロウィンだったのかもしれない。

記憶の海を渡ると、早朝の港。いまや旅人は、祭りのエトランゼとなってしまった。
おいしい風をせしめるため、ぼくはちょっぴりお化けの仮装をした同珍王賜豪。そして、ハロウィンの船を下りて亥の子の里へと向かう。


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Posted by zico at 12:27│Comments(0)life
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